【概要】
テーマ:「社会インフラとサービスの統合:先駆的事例とモデル化」日時:2012年12月5日(水)13:00~17:30
場所:北陸先端科学技術大学院大学 東京サテライト(品川)
主催:IEEE Technology Management Council Japan Chapter
共催:PICMET-Japan、後援:北陸先端科学技術大学院大学
参加者:84名(うちIEEE会員33名)
企業:51人、大学:22人、その他:11人
定員を超える84名の参加を得て大盛況であり、スマートコミュニティのモデル化やフレームワークに関する関心の高さを表している。第一部では、企業から3つの先駆的事例の報告と課題提示があり、第二部で大学からモデル化の視点での提案があった。それを受ける形で、第三部ではスマートコミュニティのモデル化・フレームワーク・設計方法に関する3つの論点に関してパネル形式で討論した。スマートコミュニティは、システム思考とデザイン思考の両輪で考えるべきというのが1つの議論の核であった。
【プログラム】
第一部:スマートコミュニティの先駆的事例 (13:00-15:00)• 「スマートコミュニティの最前線:竹中のまちづくり」 竹中工務店 大友哲明 氏
• 「スマートコミュニティ支える東芝のICT技術」 東芝 神竹孝至 氏
• 「スマートコミュニティの先駆的事例:ITSへの日産の取り組み」 日産自動車 福島正夫氏
第二部:スマートコミュニティのモデル化のアプローチ(15:00-17:00)
• 「社会・技術システムデザインの方法論と事例」 慶應義塾大学 前野隆司 教授
• 「Cloud computing: when infrastructure becomes a service」
スタンフォード大学 Richard Dasher 教授
• 「サービスシステムのモデル化」 北陸先端科学技術大学院大学 白肌邦生 准教授
第三部:講演者・参加者による総合討議(17:00-17:40)
「社会インフラとサービスを統合し、価値を創出するサービスモデル/フレームワークとは?サービス科学、技術経営の視点から」
• 論点1:スマートコミュニティにサービス設計方法論
• 論点2:多くのステークホルダーによる合意形成・価値共創プロセス
• 論点3:スマートコミュニティの持続可能性
【論点に関する議論】
- スマートコミュニティにサービス設計方法論
- スマートコミュニティはフィードバックループの中に 人を含む。従って、人を含めたモデル化が必要。コンピュータシステムとしての設計指針では足らず、人間の行動心理や、行動経済学のモデルを含めなくてはならない。
- デマンドレスポンス/HEMSなどでは、制度設計やインセンティブ設計が重要。
- 竹中工務店、東芝ではスマートコミュニティの指標化や分類を行っている。
- 日産自動車のSKYプロジェクトでは、やりながら考えた(デザイン思考的アプローチ)。
- システム思考(トップダウン)とデザイン思考(ボトムアップ)の両輪が必要
- デザイン思考にはシステマティックな方法が欠けている面もあり、そこを改善する必要がある。
- 住民と一緒に考える、エスノ的な方法論が重要。
- 多くのステークホルダーによる合意形成・価値共創プロセス
- タウンマネジメントの受け皿を明確にしていくプロセスの中で、以下の課題があり、一般化できないか。
- まちづくり初期フェーズにおける、利益構造の整理
- まちづくり計画フェーズにおける、タウンマネジメントメニューとその効果予測手法
- まちづくり運用フェーズにおける、利益構造の整理と地域行政との役割整理多様な価値観のハンドリング。
- スマートコミュニティの指標化は重要だが指標には限界がある。
- 損害賠償責任はどうするか、責任の分担方法論も必要。
- 思いの共有が重要(写真KJ法など)。
- タウンマネジメントの受け皿を明確にしていくプロセスの中で、以下の課題があり、一般化できないか。
- スマートコミュニティの持続可能性
- 頭痛薬(短期的効用)とビタミン剤(長期的効用)の両方を考える必要。
- モチベーションをどのように持続させるか?
- 過去のインターネットの広がりと対比して考えてみよう。